場面緘黙 (ばめんかんもく) とは

 場面緘黙 (ばめんかんもく) は、確立された確かな会話能力があるにも関わらず、ある特定の状況下では話すことが一貫して困難になる症状です。現在では不安症の1つとされています。話すことだけでなく身体の動作が困難になる「緘動」を持つ場合もあります。また、適切な介入がなければ、症状が長期化し、社会適応に大きな問題をきたす場合があります。

 

 医学的には、家庭など安心できる場では話せるのに、話を求められる学校など特定の場面で1ヶ月以上継続して全く話せなくなる症状のことを言います。1ヶ月以上継続すると場面緘黙と診断されますが、それが20年以上も続く人もいます。

 当事者や経験者は、自分は話せるのに、なぜか全く話せない状態が続いた……と自分一人で悩みを抱えがちです。「本当は話せるのに話さないなんてずるい」、「猫をかぶってるだけ」、「ただの人見知りだ」、「気にしすぎだ」などと周りから責められたり、勘違いをされることも多いです。診断を下す医師は、当事者や経験者のことをいつも見てるわけではありません。そのため、当事者や経験者の多くは、自己診断です。自分にしか場面緘黙で話そうとしても話せなかった苦しみや辛さはわからないかもしれません。ここが、周りに誤解されやすい部分でもあります。 

 

 場面緘黙の原因などのメカニズムは、よくわかっていません。

 医師や教員の間でも、場面緘黙という言葉は知っていても、実際の場面緘黙児とはどのようなものなのか、また、どのような対応をすればいいのかは手探り状態なのではないかと考えられます。

 

  場面緘黙は、米国精神医学会の「精神障害の診断と統計マニュアル (DSM-5)」や、世界保健機関の「疾病及び関連保健問題の国際統計分類 (ICD-10)」において診断基準が定められています。これらの中では「選択性緘黙」が和訳として正式に用いられていますが、特にICDの第11版からは「場面緘黙」が正式な和訳として用いられる予定です。

 

 DSM-5では、医学的な診断基準として、

  •  他の状況で話しているにもかかわらず、話すことが期待されている特定の社会的状況 (例:学校) において、話すことが一貫してできない。
  • その障害が、学業上、職業上の成績、または対人的コミュニケーションを妨げている。
  • その障害の持続期間は、少なくとも1ヶ月 (学校の最初の1ヶ月だけに限定されない) である。
  • 話すことができないことは、その社会的状況で要求される話し言葉の知識、または話すことに関する楽しさが不足していることによるものではない。
  • その障害はコミュニケーション症 (例:小児期発症流暢症) ではうまく説明されず、また自閉スペクトラム症、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではない。

 

 

を挙げています。

 

 

【参考文献】

  • American Psychiatric Association (2014). DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル